2025.12.04

PMの「説明責任」と「再現性」を底上げする――ギージーで実現するプロジェクト運営10の実践

はじめに

プロジェクトは「決める・伝える・やり切る」の連続です。ところが現場では、会議で決めたことが抜け落ちる/口頭相談が灰色のまま流れる/上層部の判断が文書化されない――そんな“微小な取りこぼし”が連鎖して、遅延や手戻り、ベンダーとの齟齬を引き起こしがちです。

議事録アプリ 「ギージー」 は、会議や口頭コミュニケーションの内容を正確に記録し、要約・決定事項・アクションに自動整理、リンク1つで関係者と共有・検索できる状態にします。PM(プロジェクトマネージャー)にとっては、説明責任の担保、意思決定の再現性、ナレッジの継承を同時に実現する“運営基盤”になります。

このe-Bookでは、PMの定番シーン10個をとりあげ、ギージーを使った運営フロー/成果物テンプレ/運用ルールまで具体的に落とし込みます。明日からの会議に、そのまま持ち込んでください。

このe-Bookで学べること

  • キックオフミーティングを記録し、全体の認識を統一
  • 進捗会議を記録し、課題の対応状況を明確化
  • 要件定義の議論を記録し、仕様のブレを防ぐ
  • チーム内の口頭相談を記録し、認識のズレを解消
  • 外部ベンダーとの会議を記録し、契約外対応の防止に
  • 緊急時の対応判断を記録し、リスク管理を強化
  • レビュー会議を記録し、改善提案を行動につなげる
  • ステークホルダーとの協議を記録し、説明責任を明確に
  • 新人 PM・サブリーダーへの OJT 記録として活用
  • 上層部との報告・判断を記録し、組織的な意思決定を支援

まず押さえるべき、ギージー運用の原則

  1. 会議の「すべて」を資産化:議題外の雑談・口頭相談も“ミニ議事録”として残す。
  2. 「決定」「保留」「宿題」を分解:要約の中に意思決定/未決/アクションを必ず独立させる。
  3. タグと命名で回遊性を作るPJ名_会議種別_YYYYMMDD#要件 #契約 #リスクなどタグを標準化。
  4. 発言の引用は原文リンクで:要約だけでなく、必要なら原文の該当箇所にも即ジャンプできる状態をキープ。
  5. 共有は“会議後○分以内”:スピードが記憶の鮮度を担保し、確認ループを短縮する。

 

1. キックオフミーティング:認識統一を“リンクひとつ”で配る

ねらい:目的・体制・進め方・判断基準を全員に同一配布。後続の認識ズレを未然に防止。

ギージー運用フロー

  1. 会議を録音(オンライン/対面どちらもOK)
  2. 自動要約で「目的/スコープ/非スコープ/体制/進行ルール/コミュニケーション原則」を抽出
  3. 決定事項ログ初回アクションを分離
  4. 共有リンクをプロジェクトルームに固定ピン留め
  5. 新規参画メンバーはまずこのリンクからオンボーディング

成果物テンプレ(抜粋)

  • 決定:プロジェクト目的(1文)、成功指標(3指標)
  • 非スコープ:対象外とする業務・機能
  • 判断基準:優先順位(例:安全性>法令順守>品質>コスト>納期)
  • アクション:担当/期限/依存関係

 

2. 進捗会議:課題の現在地を一瞬で把握

ねらい:課題の状態を“文章で”最新化。WBSだけでは掴めない文脈を補完。

ギージー運用フロー

  1. 定例のたびに録音→自動要約
  2. アクション一覧(担当/期限/進捗)を自動抽出
  3. 課題カードを「新規/進行中/ブロック/完了」で分類
  4. 会議終了後、リンクを共有し、各担当がコメントで差分更新

ポイント

  • 「ブロック理由」を必ず一文で。対策の仮説もセットで残す。
  • 定例の“議題消化率”を可視化し、溢れは次回の先頭へ。

 

3. 要件定義:仕様ブレを“差分で”封じ込める

ねらい:曖昧語の解像度を上げ、非機能要件・制約条件も含めて合意形成。

ギージー運用フロー

  1. 主要ユースケースの議論を記録
  2. ギージー要約から合意済/未合意/検討中へ自動仕分け
  3. 用語の定義集(語彙表)を併載し、表現のゆれを抑制
  4. 変更が出たら「変更理由/影響範囲/決裁者/決定日」を追記

成果物テンプレ(抜粋)

  • ユースケース:アクター/前提/メインフロー/代替フロー
  • 非機能:性能/可用性/セキュリティ/運用
  • 制約:既存システム連携/法令・業界ルール/SLA

 

4. 口頭相談:5分の立ち話を“ミニ議事”に

ねらい:Slack・通路・デスクサイドでの非公式合意を透明化し、後日の認識齟齬を防ぐ。

ギージー運用フロー

  1. 相談が発生したらスマホで短時間録音
  2. ギージーの短縮要約で「相談の背景/合意/保留」を即時生成
  3. 共有リンクを当事者に貼り、確認リアクションで合意確定
  4. 必要なら定例のアジェンダにも自動掲載

ルール例

  • 5分超の相談は録る、3分以内はメモ。
  • 意思決定に触れたら必ずリンク化

 

5. 外部ベンダー:契約外対応の“線引き”を証跡で守る

ねらい:議事録が契約上の盾に。スコープ外の依頼は変更手続きへ誘導。

ギージー運用フロー

  1. 取引先との会議を録音
  2. 自動要約で契約範囲/追加要望/見積・稟議のトリガーを抽出
  3. 「要求→提案→合意→発注」のどこにいるかを明確化
  4. 共有リンクを双方で保管し、発言引用でディスカッション

テンプレ

  • 変更要求ID/依頼者/要旨/影響/コスト概算/期限/合意ステータス

 

6. 緊急時対応:タイムラインが“意思決定の盾”になる

ねらい:障害・事故・インシデントの判断過程を残し、再発防止と説明責任を両立。

ギージー運用フロー

  1. 立ち上がりから録音(ブリッジでもOK)
  2. ギージーが時系列で事実/判断/対処/結果を整理
  3. 収束後に**振り返り(AAR)**テンプレで教訓化
  4. リスク台帳にリンクし、予兆・兆候の監視点を更新

AAR観点

  • 何が起き、何を期待していたか
  • どの判断が機能し/しなかったか
  • 次回、何を変えるか(人・プロセス・技術)

 

7. レビュー会議:改善提案を“アクション化”する

ねらい:コード/デザイン/テスト/受入レビューで、指摘を誰がいつまでに閉じるかを明確化。

ギージー運用フロー

  1. レビューの議論を録音→要約
  2. 指摘リストを「重大/中/軽微」でラベル
  3. 修正のOwner/Due/判定基準を自動抽出
  4. 次回レビューの冒頭で、未完了の指摘だけを自動抽出して確認

 

8. ステークホルダー協議:専門外の人にも“伝わる要約”

ねらい:経営・法務・営業・現場など、利害は一致しない。非技術者向けサマリで理解を揃える。

ギージー運用フロー

  1. 会議を録音
  2. 相手別サマリ(経営向け/現場向けなど)の要点を生成
  3. 決裁に必要な選択肢・リスク・トレードオフを並列提示
  4. 合意形成のログをリンクで時系列管理

 

9. OJT:新人PMの“教科書”は現場から作る

ねらい:実戦での判断・交渉・落としどころを教材化。属人スキルをチーム資産へ。

ギージー運用フロー

  1. 重要会議で新人がシャドーイングしながら記録
  2. 要約+先輩の意図解説コメントを追記
  3. ケース別にベストプラクティス集へ編纂
  4. 次の登壇機会で新人が“台本”として活用

 

10. 上層部報告:判断材料を“1ページで”

ねらい:忙しい経営層に、今の状況・選択肢・推奨・リスクを1枚で渡す。

ギージー運用フロー

  1. 定例報告を録音→エグゼクティブサマリに自動整形
  2. 求める判断」を文頭に固定
  3. 代替案・必要予算・影響範囲を要点化
  4. 結果(承認/保留)を意思決定ログに追記

5分で始める“標準オペレーション”

  • 開始前:タイトル命名PJ_会議種別_YYYYMMDD/タグ#要件 #契約 #リスク #進捗
  • 記録中:各議題の冒頭に「決めたいこと」を口頭で宣言(要約の精度UP)
  • 終了時:PMが決定/保留/アクションを口頭で再確認(そのまま要約へ反映)
  • 共有:会議後30分以内にリンク配布、担当者はリアクションで既読・合意表示
  • 保守:変更が出たら“元の議事録”に追記。最新版の場所を一本化
  • 権限:社外共有は閲覧のみを原則。個人情報は削除・匿名化
  • 棚卸し:週次で「未決・長期保留」を抽出して進行役が潰す

 

成果物テンプレ集

決定事項ログ(Decision Log)

ID 決定内容 背景・根拠 代替案 決定日 決定者 影響範囲 リンク

アクションアイテム

No タスク 担当 期限 依存関係 状態 メモ

RAID(Risk/Assumption/Issue/Dependency)

種別 タイトル 詳細 影響 対応方針 担当 期限 リンク

ステークホルダー・コミュニケーション記録

日付 相手 主題 合意/保留 次アクション 所要時間 参照リンク

導入30日プラン(スモールスタートで“定着”させる)

  • Week1:パイロット
    • PM+コアメンバー3名で開始。命名規則・タグ標準を決める。
    • 会議種別は「定例」「要件」「ベンダー」から。
  • Week2:チーム拡張
    • レビュー・口頭相談の“ミニ議事”を追加。
    • 「決定/保留/アクション」の読み合わせを運用に組み込む。
  • Week3:社外巻き込み
    • ベンダー会議でリンク共有を実施。変更要求テンプレで合意形成を高速化。
  • Week4:経営報告・OJT
    • エグゼクティブサマリ運用を開始。新人のシャドーイング教材を作成。

よくある疑問とヒント

  • Q. 会議が多くて、結局読むのが大変では?
    A. 決定とアクションだけを先に確認。詳細は必要なときに原文へジャンプする“二層構造”がコツ。
  • Q. メモと録音の二重管理にならない?
    A. メモは“発散”、ギージーは“収束”。最後はギージーの要約に集約し、参照元リンクを貼れば迷子になりません。
  • Q. センシティブ情報は?
    A. 社外共有は閲覧制限を徹底。個人情報・機密はマスキング/匿名化のルールを事前に定めましょう。

小さな“型”が、大きな遅延を消す

PM業務の失敗は、ド派手なミスよりも小さな取りこぼしの累積で起きます。ギージーで**「話したこと」→「合意」→「実行」**の線路を一本化し、誰が見ても辿れるプロジェクト運営へ。
今日の会議から――タイトル命名、タグ、決定・アクションの分離。この3つだけ、まずは始めてください。

おわりに

プロジェクトは“記録の質”で速くなります。ギージーは、会議や口頭のやりとりを証跡とナレッジに変え、PMの説明責任・再現性・組織学習を底上げします。本書のテンプレと運用ルールを、そのまま明日の会議に持ち込み、まずは1週間――効果を体感してください。
もし現場に合わせたタグ設計・テンプレ設計・運用ルールの最適化が必要なら、いつでもご相談ください。あなたのプロジェクトに最短でフィットする“勝てる型”を一緒に作りましょう。